病院からのお知らせ

ファブリー病 相談窓口のお知らせ

 ファブリー病の相談窓口を設置しました。
 症状や御家族に気になる疾患が多い方は、ご相談ください。

ファブリー病について

 ファブリー病は1898年に2人の皮膚科医(ドイツ人のJohannes Fabryとイギリス人のWilliam Anderson)によって初めて報告された遺伝子疾患です。細胞内でいらなくなったタンパク質、脂肪、糖などを壊す役割をするライソゾームという酵素の中のα-ガラクトシダーゼAの作用が弱くなり、様々な症状が引き起こされる病気です。わが国の発症頻度は、 約7,000人に1人という報告があります。遺伝子の関係から男性に多い疾患です。
 細胞内に不要な糖脂質GL3(セラミドトリヘキソシド)が蓄積され、組織障害が起こり、進行性に症状が悪化します。症状の図はLyso Life ファブリー病ホームページから引用しています。
 患者さん向けに優しい解説もあるので参考にしてください。
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出典:ライソゾーム病に関する情報サイト 「ライソライフ」 https://www.lysolife.jp/

遺伝について

 ファブリー病は性染色体の一つであるX染色体に連鎖する遺伝性の疾患です。母親が保因者の場合は男児、女児共に変異を引き継ぐ可能性があり、父親が患者の場合、女児は保因者となります。男性はX染色体が一つしかないため、ファブリー病の変異遺伝子を持っていると発症します。女性はX染色体が二つあるため、ファブリー病の変異遺伝子を持っていても、正常なX染色体の遺伝子により補われる場合があり、軽症から重症まで症状の幅が広いという特徴があります。

ファブリー病2.jpg

出典:ライソゾーム病に関する情報サイト 「ライソライフ」 https://www.lysolife.jp/

治療について

 多くは大学病院などで行われており、当地では信州大学が対応しています。難病に当たるため、医療費助成制度が受けられます。
①酵素補充療法:欠損もしくは活性の低下しているα-ガラクトシダーゼを製剤化した薬を2週間ごとに点滴で補充します。1回の投与にかかる時間は1~3時間です。
②シャペロン療法:患者さんの細胞内で作られるα-ガラクトシダーゼが本来のはたらきを行えるようサポートする治療薬です。2日に1回経口で服用するお薬です。

対症療法について

四肢疼痛:抗てんかん薬、ストレスや急激な温度変化を避ける
蛋白尿・腎機能障害:ACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、塩分・たんぱく質制限食、透析治療
心機能障害:強心薬、抗不整脈薬、利尿薬、ACE阻害薬やARBなどの降圧剤
脳血管障害:通常の抗血小板薬など

診断について

 ファブリー病の症状には、ほかの病気でもみられるものがあるため、それらの病気ではないことを、はっきりさせることが重要です。
 ファブリー病と間違えられやすい病気には、成長痛、関節リウマチ、リウマチ熱、若年性特発性関節炎、点状出血、先端紅痛症、肥大型心筋症、多発性硬化症、線維筋痛症などがあります。20歳代や30歳代の脳梗塞で遺伝的に多いことがあれば検討してみる必要があります。
 症状と遺伝的な傾向があることなどを調べた上でスクリーニング検査を行います。当院の循環器内科外来、あるいは青木医師の脳神経外科外来にて対応します。 血液を少量濾紙に垂らして検査機関に送ります。また尿のサンプルも送ります。このスクリーニング検査では特に費用はかかりません。その結果をもとにさらに疑いが濃くなれば信州大学遺伝子医療研究センターに紹介し、さらに詳しい検査をします。
 男性は、酵素活性検査でα-ガラクトシダーゼの活性なしまたは活性が低い場合にファブリー病と診断されます。女性は、酵素活性の低下がみられなくても、ファブリー病ではないと断定できないため、遺伝子検査で確定診断が行われます。

【お問い合わせ】循環器内科外来、脳神経外科外来 ℡0261-22-0415(平日11時~16時30分)
※土・日・祝祭日は除く

2023.10.30ご来院の方へ